2万HIT記念小説。
『おまえを渡さない!』

ナキアがユーリの服を手に入れたことにより、どこかに飛ばされるキケンが生じた。
その時カイルは。

「そうか、要はユーリがあの服を着なければいいんだ!」
そう言うと何かを取り出す。
「な、なによカイル、これは?」
「お相撲さんの着ぐるみだ。これを着ればあの服は着られないはずだ」
「いやよ、こんなの!」
「何を言っている、これは貴闘力タイプだぞ」
「た貴闘力なんて、いや!」
「では、土佐ノ海ではどうだ!」
「いやよ!」
「まさか・・魁皇がいいのか?」
衝撃を受けるカイル!!ふたりの愛の行方は?


(2001.9.11)

気まぐれ小説
『イルの挑戦』

「イル・バーニさま、ご用ってなんでしょう?」
人気のない場所に呼び出されたハディは不審な面もちで訊ねた。
「ハディ、言っておくことがある」
イルは無表情のまま答えると、不意に髪留めを外し始めた。
「イル・バーニさま!?」
慌てるハディの前で、イルはさらさらロングのストレートヘアをばさりと振った。
「覚えて置いて欲しい。ウルヒ亡き今、私が唯一のザ・キューティクル・オヴ・ヒッタイトだ!!」

・・・終わり
(更新がないので、お茶を濁しました)
(2001.9.20)

三万ヒット記念作品
『幸せアレキサンドラ』

アレキサンドラはショックを受けていた。
大好きなお姉さまがアレキサンドラ以外の女の人とはしゃいでいたからだ。
「私だってお姉さまとぴょんぴょんしたいわ!」
その時ジュダがそっと話しかけた。
「姫、私では代わりになれませんか?」
「まあ、ジュダ皇子がお姉さまの代わりを?」
ジュダはうなずいた。
「幸いここに女物の衣装があります。ボクがこれを着ますから、せーので走り寄ってぴょんぴょんしましょう」
ジュダは母親のナキアの服を取りだした。
「お姉さまにしては・・胸が大きくないかしら?」
ジュダはにっこり笑った。
「大丈夫です、こうやって胸元を詰めて黒いカツラをかぶれば・・」
「本当だわ・・何だか、お姉さまみたい」
さっそく二人は部屋の端とはしに分かれた。
「せーのっ!!」
かけ声と共に走り出す。
「おねぇぇぇぇさまぁぁぁっ!!」
「ひぃぃぃぃめぇぇぇぇっ!!」
二人でがっしりと手を取り合う。
この人となら、やっていけるかも。
アレキサンドラはようやく、そう思った。

おわり
(2001.10.05)

4万HIT記念小説。
『疑惑』

「ねえ、カイル・・あたしどこか、変わったところ、ない?」
不安そうなユーリの言葉に、カイルは首をかしげた。
「いや、変わったところがあるのか?」
とたんにユーリは涙ぐんだ。
「ひどいよ、カイル。こんなことに気がつかないなんて!
もうあたしのことなんてどうでもいいんだね!!」
そのまま脱兎のごとく部屋を飛び出た。
「ユーリ!?」
慌てたカイルに、非難がましいハディの声が追い打ちをかける。
「あんまりですわ、陛下!
ユーリさまのことならなんでもお見逃しにならないはずだと思ってましたのに」
そのままユーリを追いかけたい衝動を抑えながら、カイルはハディを振り返った。
「いったい、ユーリになにがあったというんだ?」
「そのようなこと・・女の私からは申し上げられません」
「言うんだ、これは・・命令だ」
強いカイルの視線に射すくめられたまま、ハディが面を伏せた。
「・・・ユーリさまは・・今朝方ウエストが1cmも増えておられたのです」
涙ぐむハディの声に、カイルは愕然とした。
「ウエストが・・1cm?では、体重は4kgも増えたということか?」
信じられなかった。
ユーリが太ったことにも、自分が気づかなかったことにも。
「そのわりに・・胸が増えないのはどうしてだ?」
深まる疑惑の前に、カイルは凍り付いた。

おわり
(2001.10.27)


5万HIT記念小説。
『溺れるものは藁をもつかむ』

婚儀前日、大神殿の前での沐浴時にそれは起こった。
不意に渦巻く水。
引き込まれようとするユーリ。
「ユーリ!!」
カイルが叫ぶ。
「きゃああああ!!」
ユーリはとっさに目の前のものを掴んだ。
それは、カイルの腰巻きだった。
ユーリは手に虚しく腰巻きを握りしめたまま沈んでいこうとする。
「しまった!陛下があられもないお姿に!」
ルサファが唇を噛んだ。
『居並ぶ国賓の前でお粗末なものを見せて恥をかくがいいわ!』
ナキアはほくそ笑んだ、が。
「なにぃ!?」
秘かに期待していた賓客達は歯がみした。
そこには、大きな葉っぱが貼りつけられていた。
「こういうこともあろうかと、葉っぱを用意していたのだ!」
しかし、得意げなカイルとは反対に、イルは青ざめた。
「陛下、その葉っぱは山芋!かぶれます!!」
カイルの運命はいかに?

おわり
(2001.11.19) 

6万HIT記念小説
『正直者』

・・・・長いため次のページで見て下さい・・・・

(2001.12.10)

7万HIT記念小説。
『さよなら大好きな人』

とうとう連載が終了してしまう。
大団円にむかう人々の間、焦る者がいた。
「まさか、最終回でも出番がないなんてことは・・」
「このままでは忘れ去られてしまう・・」
「そうだ、モブシーンにさりげなく登場を・・」
神殿前の群衆の中、顔をつきあわせる人物たち。
「お、おまえはラムセス将軍!?なぜこんな所に?」
「ファラオこそ・・」
「姉上!?姉上か?幽閉中のはずでは・・」
「お前、忙しいとかで息子を名代に立てたのでは?」
「誰だ・・あんた?」
「とうとう名前が出なかったが・・カタパの髭の男とでも・・」
「夕梨〜帰ってきてくれ〜」
「娘はどうなったんだぁ・・・」
 知った顔、知らない顔で大騒ぎする中、ぽつりと残された小さな箱。
「この箱は?」
「・・・イルヤンカの眼」
 忘れてた。

おわり
(2001.12.31)
 


8万HIT記念小説。
『帰ってきたウルヒ』

ナキアの幽閉された宮に黒いマントで身を包んだ男が現れた。
彼は、サイボーグ・ウルヒ。
以前「役に立たない」と言って追い出されたはずだ。
「またお前か」
ナキアが胡散臭そうに言った。
「はい、私です!でもナキアさま、今日の私は今までの私とは違います!」
「どう違うのじゃ?」
ウルヒは得意そうに立ち上がった。
「私は死神博士の所でもとの身体に復元してもらったのです!」
バサリとマントを脱ぎ捨てる。
「・・・」
ナキアは無表情でウルヒの復元部分を見た。
「・・・で、それはお前が失ったものと同じなのだな?」
「そうです!」
ウルヒは胸を張った。
ナキアは冷たく顔を背けると立ち上がった。
「お前はまだその時子どもだったのだな。話にならんわ!」
「ナ、ナキアさま?」
広間に残されたウルヒは呆然と立ちつくした。
「なにが・・いけなかったのだろう?」
ウルヒの復元部分は、今の身体に較べてかなり年齢不相応なサイズだった。

おわり
(2002.1.20)


9万HIT記念小説
『渦巻きの向こうがわ』

水が流れる。
ばたんとドアの閉まる音。
おおきなため息。
氷室家の家長はこたつで湯飲みをすすりながら訊ねる。
「聡のやつ、どうしたのかな?」
煎餅をかじりながら氷室家主婦は首をかしげる。
「さあ、便秘じゃないの?」
「男の便秘は良くないんじゃないか?」
「便秘じゃなけりゃあ痔かね?」
「違うと思うけど」
TVに見入っていたはずの長女がぼそりとつぶやく。
「あの子さあ、ヘンなのよ」
「ヘンってなにが?」
両親に見つめられて長女は肩をすくめた。
「だって、トイレに行く前に必ず髪をとかしてめかしこむのよ?」
家長と主婦はぼんやりと廊下に続く扉を見た。
「いったいどうしたって言うんだろう?」
扉の向こうの廊下で、氷室家長男は今日もたたずんでいた。
トイレのドアにもたれながら。
「また・・・会えなかった・・・」

おわり
(2002.2.12)


10万HIT記念小説
『Only You』

キックリには悩みがあった。
「ギュズ、バハルちょっとおいで」
幼い娘を呼びつける。
「「はあい、とおたま」」
「さあ、このリボンをあげよう。かわいいぞさあ、ギュズ」
「わあい!」
キックリはギュズと呼んで答えた方に青いリボンを結んだ。
「さあ、バハル」
「わあい!」
バハルと答えた方にはピンクのリボンを。
「さあ、二人とも似合っているぞ」
「「とおたま、ありがとう!」」
キックリが満足していると、はしゃぎ声を聞きつけた母親が顔を出す。
「キックリ、なにしてるの?」
「「かあたま、とおたまに貰ったの!!」」
「まあ、かわいいわ!」
リュイかシャラは目を細めた。
「でも、ふたりお揃いじゃないのね?待っててね、かあさまがお揃いを持ってきてあげる」
待て、とキックリは言えなかった。
「「うわ〜い、おそろい、おそろい!!」」
はしゃぐ娘達のそばで、がっくりと肩を落とす。
目印作戦、失敗。

おわり
(2002.3.10)


11万HIT記念小説
『ツインズ』

どうしても分からない事があった。
お互いに手をつないだまま、首をかしげる。
「ねえ?」
「うん、どうしてだろう?」
兄たちが服を汚して母親達に叱られている。
「「まったく、あんたたちはどうしていつも!?」」
「「ごめんなさ〜い!!」」
「「もう洗濯は自分たちでするのね!キックリ、なんとか言って!」」
「男の子はやんちゃなほうがいいよ」
「「洗濯する私たちの身にもなって!!」」
「・・・そうだな・・・」
やっぱり、おかしい。
「「へんだよねえ?」」
「「あら、あなた達、なにがへんなの?」」
母親達が娘達に気がついて腰をかがめた。
「「あのね」」
もしかしたら、父さまはこのことをすごく気にしているのかもしれない。
でも、言ってみた。
「「父さま、なくしちゃったの?」」
「・・・なにがだ、ギュズ、バハル?」
「「だって、父さまだけ半分しかないよ?」」
もう一人の父親はいったいどこにいるのだろう?
幼い姉妹はそれが不思議で仕方なかった。

おわり
(2002.4.5)


12万HIT記念小説
『座敷わらし』

盛大な婚儀の後のパーティ。
儀典長は首をかしげた。
「はて・・?ひとつあまる・・」
一つだけ、空いた席がある。
皇帝もまた首をかしげた。
「一つ余るな?」
顕彰に与えるはずの勲章が一つ余っていた。
「ルサファのじゃないの?」
皇后であるユーリも首をかしげた。
「まあまあ、乾杯しましょう!」
ミッタンが杯に酒を注ぐ。
「おい、一つ多くないか?」
カッシュが余ったカップを不思議そうに見た。
「これって・・聞いたことがある!
座敷わらしがいたんだよ、きっと!」
ユーリの言葉に、みんな納得しようとした。
・・・シュバス、妖怪だったんだ。  

おわり
(2002.5.2)


13万HIT記念小説
『一寸法師』

「「ねえ、イル・バーニお話聞かせて!」」
幼い皇子達は頬を上気させてねだった。
「わかりました、殿下方」
今夜の夜とぎを皇帝から命じられたイルは咳払いをすると話し始めた。
「アリンナの神殿は広く天下に知れ渡っているので・・」
「ひろくてんか、ってどういうイミ?」
「まあ、誰でも知っているということです」
「ふうん」
「ある地方に住む長官が、いつも行ってみたいと考えていたところ・・・」
「そんなのしょっちゅ行ってるよ!」
「ピア、黙っておはなしをききなさい」
「はあい」
「・・・とうとう機会があって詣でることになりました」
「もうでる、っておまいりすることだよ」
「兄ちゃまこそちゃんと聞かなきゃ」
「そうだね」
「・・・帰ってから長官はそれはそれは周りの人にそのことを自慢しました」
「自慢はよくありません、って母しゃまが・・」
「ピア!」
「・・・うん」
「しかし、長官は不思議そうに
『けれど街の真ん中に大きな建物があってたくさんの人たちが出入りしていましたが、
あれはなんだったのでしょう?』と首をかしげていました」
「なんなの?」
「長官は太陽神殿にはお参りせずに、街の中の小さな神殿にお参りしていたのです」
「どうして?」
「なにごとにも先達・・・案内人が必要だということですよ。
それに人に尋ねていれば間違うこともありません。
ちょっとしたことで間違いが防止できるんです。
さ、お話はおしまい。お休みなさい、殿下」
「「・・・おやすみなさい」」
 そうして、幼い皇子達は不可解な気分のまま眠りにつくのだった。

おわり
(2002.5.29)


14万HIT記念小説
『届かぬ想い』

「お義母さま、お小遣いはちゃんとお渡ししているはずです!」
若妻アレキサンドラはきっぱりと言った。
「しかし今月分はもう遣ってしまったのだ」
「買い食いばっかりしているからです!太っちゃいますよ!」
「なんだ、ケチ!」
嫁との争いに負けたナキアは捨てぜりふを残すと自室に引き上げた。
「まったくあの嫁はケチだよ」
言ってから小箱から布に包まれたものを取り出す。
「のう、ウルヒよ。今の私は哀れだろう?」
布の中には金色の髪の束があった。
「お前が逝ってからは不自由ばかりだ」
しんみりとつぶやく。
「だが、これを売れば多少の金にはなるだろう」
ナキアは晴れやかに立ち上がった。
「ウルヒもたまには役に立つのう」
そうしてナキアは鬘屋に向かうのだった。

おわり
(2002.6.24)


15万HIT記念小説
『つきぬ想い』

「お義母さま、お小遣いはちゃんとお渡ししているはずです!」
若妻アレキサンドラはまたしてもきっぱりと言った。
「しかし今月分ももう遣ってしまったのだ」
「買い食いばっかりしているからです!太っちゃいますよ!」
「なんだ、ケチ!」
嫁との争いに負けたナキアは捨てぜりふを残すと自室に引き上げた。
「まったく田舎育ちはケチだよ」
言ってから腰に付けた巾着袋を開ける。
中にはごくごく小さな金のつぶしか入っていなかった。
「ウルヒよ、なぜ死んだのじゃ?」
ナキアはため息をついた。
「生きていれば髪も伸びてまた売れたのにのう」
言いながらこの前ウルヒの髪を売った最後の金で買い食いに出かけるナキアだった。

おわり
(2002.7.17)


16万HIT記念小説
『温故知新』

アイギル家の子息カイルが泣きながら帰宅してきた。
「一体どうしたのじゃ、カイル?」
かわいい孫に議長は尋ねた。
「学校で、お祖父ちゃんの芸は古いっていわれたんだ」
今年七歳になるカイル少年は涙をぬぐいながら答えた。
「伝統芸の良さが分からない者はほうっておけばよい」
「うん、ぼくもお祖父ちゃんの傘回しはすごいと思うよ」
孫の言葉にアイギルはにっこりと笑った。
「そうかそうか、ではまた今日も見せてやろうかの?」
アイギルは番傘を取り出すとくるくる回し始める。
「お祖父ちゃんが急須や枡しか回せないと思ったらまちがいだぞ?」
そういうとアイギルが取りだしたのはゲームボーイだった。
「どうだ、新しいだろう?」
「うわあ、お祖父ちゃんすごいなあ!」
言いながらカイル少年は
『アドバンスじゃないんだ。やっぱりお祖父ちゃんって古いや』
と、こっそり考えていた。

おわり
(2002.8.10)

17万HIT記念小説
『そよ風とぼく』

「わたしと追いかけっこをしてください!」
真剣な顔でハディが言った。
「ハディが私を追うのか?」
全くかなわないだろう。
体力勝負で誰かに勝てた試しはない。
「わたしをつかまえてください」
イルは考えた。
それは無理だ。
捕まえるというのはつまりハディに追いつかねばならない。
ということはハディのスピードよりイルのスピードが速くないと。
しかし、とイルは思った。
こういった場合、女性はわざと捕まったりするものではないか。
女心は知り尽くしているつもりだ。
イルはうなずいた。
ハディはかわいい女だ。
「うふふふ〜」
ハディが駆け出す。
まったくかわいいものだな。
イルは微笑むと、死のロードへとスタートを切った。

おわり
(2002.9.1)

18万HIT記念小説
『怪談鬼屋敷』
長いので次のページで見て下さい
(2002.9.21)

19万HIT記念小説
『お魚と私』

「最近、出番がないんです」
サイボーグ・ザナンザはためいきをついた。
(まあ、しかたねぇよな。改良もしていないみたいだし)
とと丸は水をはね上げながら答える。
「やっぱり、飽きられたんでしょうか?」
サイボーグ・ザナンザは自分の身体を見まわした。
「どういう点を改良すればいいんでしょう?」
(これからのキーワードは「地球にやさしい」だろ、やっぱり?)
「エコロジーですか?」
(そうだな、CO2の排出を減らすとか・・・
あ、そうだ、リサイクルなんてどうだ?)
「リサイクル?」
(ゴミ問題とかよぉ)
「そうか、生ゴミ処理機なんかいいですね!」
サイボーグ・ザナンザの顔が輝いた。
「分かりました、さっそく改良してもらいます!ありがとう、とと丸!」
(ああ、がんばれよ!)
とと丸は走り出すサイボーグ・ザナンザを見送った。

おわり
(2002.10.14)

20万HIT記念小説
『想い出にかわるまで』

ユーリは病の床にあった。
「ユーリ、なにか欲しいモノはないか?」
のぞき込んだカイルは問う。
ユーリは弱々しく微笑んだ。
「別にないよ、カイルが傍にいてくれれば」
「欲しいモノはなんでも言っていいんだぞ。すぐに用意させる」
カイルはユーリの手を握った。
ユーリは力無く握り返す。
「不思議だね・・・なんだかいろんなことを思い出すの」
「たとえば?」
ユーリはまぶたを閉じた。
「そうだね、たとえばエジプトから帰ってやっとカイルに逢えた日のこととか」
「ああ、そんなこともあったな」
あの日のことはカイルもしっかりと憶えていた。
再び己の半身を取り戻せた日。
「そういえば・・・」
ユーリは眉を寄せた。
「ん、なんだ?」
「あの時、カイル新しいチョーカー作らせるって言ったのに、まだ貰ってないよ?」
「な、なんのことだ?」
すっかり忘れていたカイルだった。

おわり
(2002.11.6)

21万HIT記念小説
『恋の病は治せない』

「まったく、あの嫁ときたら!」
ナキアはいつものように腹を立てていた。
また口げんかに負けたのだった。
「姫さま、そんなに怒っていては小じわが増えますわ」
侍女が言いながらお湯に湯ノ花を溶かし込む。
「なんじゃ、これは。臭いぞ?」
「肌がすべすべになる温泉の素ですわ」
「卵が腐った匂いではないか」
「でも効果は抜群なんですよ」
言い合っている二人の傍でお湯が渦を巻き始める。
「まるでこえつぼのようじゃ」
「姫さまはこえつぼにはまったことがおありですの?」
「ないわ!」
「うわあぁぁぁぁっ!」
叫び声とともに、氷室が現れた。
ナキアと侍女の視線が冷たく刺さる。
「何者じゃ、こいつは?」
「さあ、服のままでお湯に浸かるなんて行儀の悪い者ですね」
「そうゆう問題ではないだろう」
氷室は驚いたまま二人を眺めた。
「・・・高齢者専門ソープ・・?」
「むむっ!こやつめ!」
ぱっこ〜〜ん!
ナキアが投げつけたタライが氷室の頭にヒットした。
「うえ・・・」
目を回した氷室は毎度の事ながら風呂の中に沈んで消えた。
「姫さま、いきなりものを投げつけるなんて乱暴ですわ!」
「なぜだか知らぬが猛烈に腹が立ったのじゃ!」
「でも相手がなにか言っていたのに」
「まったくお前はうるさいぞ!」
風呂場には主従の言い争う声と硫黄の匂いが満ちているのだった。

おわり
(2002.11.29)

23万HIT記念小説
『地球に優しい』

「これ、おじちゃまにあげるの!」
ピアがパンを持って立ち上がる。
「ピアは本当にザナンザ皇子が好きなのね」
ユーリは感心した。
「でもいくら食べても大丈夫になったとはいえ量が多いと故障の原因になったりしないかな?」
「え?」
言われてカイルは手元のパンを隠した。
「い、いいんじゃないのか?ザナンザもいいって言ってるし」
コンポスト機能が付いてからサイボーグ・ザナンザはひっぱりだこだ。
「そう?じゃあ、これからはザナンザ皇子の分も作らなきゃ!」
「いや、そこまですればあいつも遠慮するだろうし・・・」
なによりもせっかく減った取り分がまた増える・・・と言おうとしてカイルは黙った。
「なに?」
満面の笑顔でユーリが聞き返す。
「・・・あいつも喜ぶよ」
また墓穴を掘るカイルだった。

おわり
(2003.1.11)

24万HIT記念小説
『ふくはうち』

「どうやら王宮では毎年、節分というものをしているらしい」
ナキアの言葉にジュダは首をかしげた。
「それって、どんなこと、おばあ・・・ナキアさま?」
「うむ」
ナキアは頷くとカゴを取りだした。
「なんでも木の実を偉い人にぶつけるとラッキーになるらしい」
「へえ、へんだね。そんなのでラッキーになるの?」
ジュダは興味津々でカゴをのぞき込んだ。
「あちらでは、皇帝にぶつけるらしいが、こちらにはいないからな」
ナキアは自信たっぷりにカゴから椰子の実を取り出した。
「だからより大きなものをぶつければ良いのではないかと思ってな」
「そうだね、さすがおばあ・・ナキアさまだ!」
ジュダは目を輝かせて椰子の実を手に取った。
「ここで一番偉いのは父さまだねっ!」
「そうじゃ、ジュダにこれをぶつけるのじゃ。バレないようにな」
「うわぁ、どきどきする!」
ジュダとナキアは目を輝かせて窓の下を通り過ぎるカルケミシュ知事を待ち受けるのだった。

おわり
(2003.2.3)

25万HIT記念小説
『祭だわっしょい!』

「どうやら王宮では毎年ひな祭りとかいうものをやっているらしい」
ナキアの言葉にジュダは首をかしげた。
「それってどんなこと、ナキアさま?」
「うむ」
ナキアはうなずくと藁で作った人形を取りだした。
「なんでもこの人形に髪の毛を入れて釘で打ちつけるとラッキーになるらしい」
「へえ、へんだね、そんなのでラッキーになれるの?
でも節分のときはせっかく父さまに椰子の実をぶつけたのに、すっごく叱られたんだよね」
「うむ、アレキサンドラのやつ、夕食抜きにしよったわ」
「あの時はお腹が空いたよね、アンラッキーだったな」
「しかし今度は違うぞ」
ナキアは威張って胸を張った。
「試しに二人の髪の毛を入れてみようじゃないか」
ジュダはわくわくして髪を抜いて差し出した。
「おば・・ナキアさまは白髪を入れるの?普通のを入れるの?」
「馬鹿者、わたしに白髪などないわ!」
ナキアも髪を引き抜くと、二本の髪をよりあわせてわら人形に押し込んだ。
「さて、釘を打つぞ!」
「うわぁ、どきどきする!」
その後二人は原因不明の腹痛に悩まされて夕食の席につけなかったそうな。

おわり
(2003.3.1)

26万HIT記念小説
『パンチでデート』

「ね、あたしと仕事とどっちが大事?」
ユーリの言葉に、カイルは落ち着き払って答えた。
「私は皇帝だ、政務をおろそかにするわけにはいかない」
ユーリの瞳がたちまち涙で曇る。
「そうだよね・・・うん、分かってる・・・」
唇を噛むと背を向けて脱兎のごとく駆けだした。
「待つんだ、ユーリ!」
玉座から立ち上がり後を追おうとしたカイルの服をがしりと掴む者がいる。
「・・・陛下、バレバレです」
「うっ・・・」
物陰からうかがっていたユーリはちっ、と舌打ちをした。
「やっぱりイル・バーニは騙せないわね。
仕方がないわ、デイルがいるときに試そう。
早くしないと花見の季節が終わっちゃう」
今日も側近の目を誤魔化して脱走を試みる二人だった。

おわり
(2003.3.18)

27万HIT記念小説
『イマドキの流行』

「本日お持ちしたのは」
出入りの商人はうやうやしく頭を下げた。
「現在、王宮の女性の間でたいへん流行っておりますものでございます、王太后陛下」
「ほう、どのようなものじゃ?」
ネフェルティティは椅子から身を乗り出した。
「こちらでございます」
商人が箱からとりだしたのはカツラだった。
「公式の席では黒いカツラと決まっておりますが、
私的な場ではこのような金髪のモノを楽しまれる方も増えまして」
「なんとも見事な金色よのう。北方から取り寄せたのか?」
「いえ、これはカルケミシュの産でございます」
「カルケミシュにはよほど美しい金の髪の女が住んでいるのだな。
・・・うむ、気に入った」
「まいどありがとうございます!」
頭を下げる商人の前でネフェルティティはうっとりと金髪の感触を楽しむのだった。

おわり
(2003.4.5)

28万HIT記念小説
『嫁の名推理!』

「お義母さまっ!買い食いばっかりしているとお腹を壊しますよ!」
口うるさい嫁、アレキサンドラが注意する。
「な、なんだと、わたくしは買い食いなどしておらぬわ!」
ナキアは買ってきたばかりの梅煎餅を背中に隠した。
「おやつばっかり食べているから、晩ご飯が食べられなくなるんです」
「食べておらぬと言うのに」
アレキサンドラは不敵に笑うと、部屋の隅のサイボーグ・ウルヒを指さした。
「では、なぜウルヒが虎刈りなんですか?」
ナキアは慌てて言った。
「こ、これはファッションじゃ!」
サイボーグ・ウルヒは悲しそうにうつむくばかりだった。

おわり
(2003.4.30)

29万HIT記念小説
『誰にも言えない』

とても気になることがあった。
こんなことを訊ねるのはどうかと思ったが、好奇心の方が勝った。
「ねえ、ザナンザ皇子」
「なんですか、ユーリ」
「あのさ、ジャグジーのことなんだけど」
視線を下方にさりげなくさまよわせながら、ユーリは早口で訊ねた。
「もちろん、噴出口があるってことは、取水口もあるんだよね?」
サイボーグ・ザナンザは口ごもった。
「ええ、それはもちろん」
「どこ?」
「・・・秘密です」
いつか、絶対一緒に風呂に入って確かめよう。
秘かにユーリは決意するのだった。

おわり
(2003.5.29)

30万HIT記念小説
『知りたくもない』

「私はナキアさまに隠し事はしません」
ナキアは頬杖をついてサイボーグ・ウルヒを眺めた。
「なんのことじゃ?」
サイボーグ・ウルヒは頬を紅潮して胸を張った。
「私の秘密をお教えしましょう!
泡風呂を作るためには取水口が必要ですが、私の取水口は・・・」
ナキアは控えている侍女を振り返った。
「こやつを砂漠に捨ててこい!」
「ウルヒさまは大事なカネヅルですわ!」
「それもそうじゃな」
とりすがるサイボーグ・ウルヒを見下ろすとナキアは頷いた。
「ではわたくしの目の届かないところへ閉じこめておけ」
「私の実演が見たくはないのですか!?」
悲痛な叫び声だけが残された。

おわり
(2003.6.10)

31万HIT記念小説
『君のためボクに出来ること』

「無理、だというのか?」
カイルは眉を寄せた。
「この私、皇帝の命でも?」
「はい、申し訳ありません」
侍従長は汗を拭いながら答えた。
「金髪は出回っているのですが、黒髪はどうしても」
「しかし、ユーリに似合うのは黒髪だ」
「流行は金髪でして」
「私はユーリにはいつも最新流行のモノを与えたいのだが
金髪か・・・」
ただいまオリエントで人気沸騰中のカルケミシュ産金髪カツラを睨みながらカイルは呟くのだった。

おわり
(2003.7.2)

32万HIT記念小説
『おとなのおてほん』

「わあ、綺麗」
見上げて歓声をあげたユーリにカイルは腕を伸ばした。
そのまま、高いところの花を一輪手折る。
「ほら」
さっと黒髪に挿して笑う。
「ハットウサにはない花だな、よく似合う」
「ほんとう?ありがとう」
「一株もらって帰ろうか?
お前の部屋の外に植えさせよう。
花をかたどった髪飾りを作らせるのもいいな」
「カイルったら!」
たしなめるようにユーリはカイルの腕に手を置いて微笑んだ。
「本当に、仲がよろしいのよね」
離れて歩きながら母が感心している。
「うん母さま、こうていへいかって、『コソク』だねぇ」
チビウルヒも真面目にうなずきぜひ見習わなければと思うのだった。

おわり
(2003.7.27)

33万HIT記念小説
『笑顔の理由』

どうもユーリがおかしい。
カイルは疑っていた。
彼の前では言葉遣いは丁寧だ。
物腰も充分に礼儀正しく洗練されている。
ただ、どこか違和感がある。
「ハットウサはお気に召しまして?」
声が微かに震えている。
「はい、さすがはオリエント一の繁栄を誇る貴国の都です」
彼との間になにかあるのか?
妙にユーリに対して親しげな男だが。
「殿下のお国も大層な繁栄ぶりとお聞きしますが」
「どうか」
ほら、なぜあんな潤んだ目でユーリを見つめるのだ。
「マッチョ、とお呼び下さい、陛下」
「・・・マッチョ」
ユーリの声がうわずった。
盗み見ると、ユーリは精一杯真面目ぶりながら目だけがこらえきれずに笑っていた。

おわり
(2003.8.22)

34万HIT記念小説
『愛あればこそ』

「殿下は年の差なんて気にされますか?」
ユーリの言葉にマッチョは目を見開いた。
「いえ・・・そんなことは」
「よかった!」
ぱっとユーリの顔が輝く。
「ふたつしか違わないから失礼かと思ったんだけど、
ほら、一応マッティワザ陛下の側室だったこともあるわけで、
つまり義理の親子とも言えなくないから、殿下のことを息子みたいに・・・あれ?」
ユーリは首をかしげた。
いつの間にか目の前からミタンニ王子の姿は消えていた。
「急にスキップをしながら走って行かれました」
ハディが報告する。
「なんだろ?運動の時間だったのかな?」
「さあ?」
弾むマッチョの心(と身体)を知らずに、ユーリはいぶかしむのだった。

おわり
(2003.9.15)

36万HIT記念小説
『君に捧げる言葉』

「わたしの覚えている母は小柄で細やかで
少女のようなひとだった……ちょうどあなたのような」
ザナンザの前でユーリは身じろぎした。
「ご…ごめんなさい皇子…失礼しますね」
言うとさっと身をひるがえす後ろ姿を、切なくザナンザは見送った。
「ザナンザ殿下」
その時、声がかけられた。
「ああ、イル・バーニか」
「あなたさまらしくもない、殿下」
イルは不敵に笑った。
「軍事でも女性でも攻略法を誤ったことのないあなたが、
ユーリさま相手に、これはあきらかな作戦ミスですな」
イルはぐいと顔を近づけ声を潜めた。
「『母に似ている』これは年上の女を口説く時の殺し文句です」
「…………」
だからちょっと後悔してるんだよ、とザナンザは胸の中で毒づくのだった。

おわり
(2003.10.14)

38万HIT記念小説
『ともに白髪の生えるまで』

「ユーリ、私はおまえが年老いて老婆になっても、愛し抜けるぞ!」
カイルの言葉にユーリは目を潤ませた。
「嬉しい!あたしだってカイルがどんな姿になったって……」
「身長と胴回りが同じぐらいに太ってもか?
耳の後ろと頭頂部だけを残してハゲてもか?
前歯が全部抜けてよだれが垂れ流しになってもか?」
「あ……あたりまえじゃないの!あたしはカイルの外見が好きになったわけじゃないのよ」
「では、これでどうだ? 以上の三条件をそろえて、
蛍光パープルに黄緑色の蝶が舞う模様の全身タイツ・スタイルだったら!?」
愛が試されるのは辛い。
ユーリはそう思った。


(2003.11.27)

39万HIT記念小説
『サンタが街にやってきた』

「どうやら王宮では毎年クリスマスとかいうものをしているらしい」
ナキアの言葉にジュダは瞳を輝かせた。
「それって、どんなこと、おばあ・・・ナキアさま?」
「うむ」
ナキアはうなずくと袋を取りだした。
「なんでも赤い格好をして人の家に行くとプレゼントがもらえるらしい」
「へえ、へんだね?そんなのでプレゼントってもらえるの?」
ジュダは興味津々で真っ赤な衣装を取りだした。
「あちらでは夜中に忍び込むらしいぞ?そして『プレゼントか?痛い目か?』と訊ねるそうじゃ」
ナキアは自信たっぷりに帽子をかぶって袋をかついだ。
「おそらく嫁は皇帝家の風習にかぶれておるからの」
「そうだね、さすがおばあ・・・ナキアさまだ!」
ジュダもさっそく衣装を着込んだ。
「両親の寝入りばなを狙うのじゃ!」
「うわぁ、どきどきする!」
その夜、二人はこっぴどく叱られて一週間のおやつ抜きを申し渡されたそうな。

おわり
(2003.12.25)

40万HIT記念小説
『アロマなあなた』

「なぜこいつが寝所にいるのだ?」
カイルは壁際で淡く光るサイボーグ・ラムセスを指して訊ねた。
「だって、ストレス解消にいいって聞くし」
ユーリは口ごもりながらサイボーグ・ラムセスに歩み寄った。
「ラムセスだって、遊んでいるだけじゃ肩身が狭いと思うのよね、だから。
ね、香りって選べるの?」
「何種類かあるな。耳の後ろに切り替えスイッチがある」
今は妖艶な薔薇の香りを漂わせながらサイボーグ・ラムセスがうなずく。
「ええっと……たしかラベンダーが安眠だっけ?……あれ?」
その表示に気づく。
「なんだろ、これ?『女性の好む香り』って」
「媚薬じゃないのか?まったく、エジプト人というのは……試してみよう」
いつの間にか興味津々のカイルが、そばにやってきてのぞき込んだ。
「また、スケベなこと考えて!」
言いながらもユーリは漂いはじめた香りに鼻を動かした。
甘くて……香ばしい。
「なんだこれは?」
怪訝なカイルの目の前で、ユーリは瞳を潤ませた。
「うわぁ・・・これってあたし、すごく好き!!」
「どうだ、女心直撃だろう!」
全身から石焼き芋の香りを立ちのぼらせて、サイボーグ・ラムセスは誇らしげに「シェー」のポーズをとっていた。

おわり
(2004.1.27)

42万HIT記念小説
『アフロなあなた』

今日も、皇帝夫妻は良い香りを楽しんでいた。
「やっぱり、癒されるよね。ラムセスが来てくれて良かった!」
ユーリは壁際で芳香を放っているサイボーグ・ラムセスを見ながらうっとりと言った。
「……まあな」
カイルはかつてのライバルの姿に複雑な心中を隠せなかった。
「今日はサンダルウッドなんてどうかしら?」
ユーリがサイボーグ・ラムセスの取扱説明書をのぞき込む。
「香りを変えるときは一度消臭スイッチを押してから急速加熱にすればいいぞ」
最新式のサイボーグは説明書を読まなくてもナビシステムが充実している。
サイボーグ・ラムセスは自慢げに「月に代わっておしおきよ!」ポーズを決めながら教えた。
「消臭スイッチなんてあるんだ!じゃあ、サンダルウッド……」
ユーリが言われたとおりにボタンを操作する。
「おっと、急速加熱ボタンを押しすぎると・・・」
サイボーグ・ラムセスの身体の一部が変化し始める。
「髪型がアフロになるんだ!」
それがいったい何の役に立つのか。
あまりにも得意そうなアフロ・サイボーグ・ラムセスの姿に、二人はなにも言えなかった。

おわり
(2004.3.17)

44万HIT記念小説
『キノコなあなた』

「新機能を追加したぞ」
偉そうに腕組みをしたサイボーグ・ラムセスにユーリは目を輝かせる。
「またなの?ラムセスっていっつも最新機能なんだよね」
「あたりまえだ。オレはいつも時代の最先端を行く男だ!」
「・・・で、こんどはなんだ?」
カイルはいやそうに顔をしかめた。
それに向かって、サイボーグ・ラムセスはにやりと笑う。
「ふっ……聞いて驚くな!椎茸栽培だっ!!」
「ええっ!?どこに!?」
「見せようか?」
驚くユーリの前で服に手を掛けるサイボーグ・ラムセス。
「こいつをすぐ捨ててこい」
カイルは衛兵に冷たく命じるのだった。

おわり
(2004.5.4)

45万HIT記念小説
『夏がくる』

「どうやら王宮では夏になるとスイカ割りとか言うものをしているらしい」
ナキアの言葉にジュダは首をかしげた。
「それってどんなこと、おば……ナキアさま?
スイカって切るものじゃないの? 割ると食べにくいんじゃない?」
「うむ」
ナキアは重々しくうなずいた。
「確かにそうは思うが、縁起物らしいのじゃ仕方あるまい」
「じゃあ、ぼくたちもやってみなくっちゃね。どうやるの?」
ナキアは思い切り顔をしかめた。
「地面の中に頭だけ出してひとりが埋まるのじゃ。そしてもうひとりが棒で叩く」
「それって……なんかヤだ…それにスイカと関係ないんじゃ……」
「縁起物じゃからの、私は棒を持とう」
「ボクだって棒がいいよぉ」
ジュダは困り顔で周囲を見回していたが、やがて瞳を輝かせた。
「あっ! ウルヒが来るよ!」
「おお、ウルヒか!ちょうどよい……ウルヒよ、ちょっと来い!!」
「なんですか、ナキアさま!?」
サイボーグ・ウルヒはスキップしながらうきうきと近づいてくるのだった。

おわり
(2004.6.2)

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