天(そら)の約束　　　

　　　　　　　ＢＹ　なんなさん

振り向く必要などありません

もしも私がこの場所に還らなくても　あなたは何も言わずに天(そら)の高さを測り続けていて下さい

隔てる夜の向こう側で　独り闘うあなたがどうか倒れてしまわぬ様に

触れもせず語り尽くす眼差しのすべてを　・・・・・信じてもいいですか？


賭ける生命(いのち)がひとつの存在だけなら淋しすぎますね

私たちはお互いの為には消えることなど出来ないけれど　同じ彼方の為に生きています

あなたの言葉が　信頼よりも完璧な理想で私を縁取ってくれるでしょう

抱いてほしい　そんなことを口に出したとしても

きっとそれでも眉ひとつ動かすことはないでしょうね　何の挿話にもならないから

立ち止まる必要などありません

もしも私がこの場所に還らなくても　あなたは何も言わずに天(そら)の青さを守り続けていて下さい

それがあなたに対する私の心の証しだと　そんな風に信じてもいいですか？


どうぞ私の心配をしないで下さい

どうぞ剣を抜く私の姿を思い描かないで下さい

孤独の戦場に佇むあなたのことを　私も憂いたりはしませんから 

それでも結ぶべき視線の先にはお互いの気配があると

そんな風に生きてもいいですか？

そしてどちらかがこの場所に還らないのなら　その時は　人知れず風に舞う花弁(はなびら)に変えましょう

この約束を・・・・

ＥＮＤ

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