バスタイム

                      by yukiさん

 ユーリは湯浴みが好きだ。
 毎日欠かさずと言っていいほど湯浴みをする。
 一度どうしてそんなに湯浴みが好きなのかと聞いたら
「だって、あたしの国では誰でも毎日おフロに入るよ」
と言っていた。
 毎日湯浴み(ユーリが言うところの「オフロ」)するというのは、それなりの地位がないとできないことだ。
 第一、平民は湯殿など持ってはいないのだから。
 しかし、ユーリの国では毎日湯浴みをするのが普通なのだという。

 今日もユーリと一緒に湯浴みをする。
「ユーリ、おまえの国の湯殿のことを教えて欲しい」
 ユーリはわたしがいつ抱きにくるか分からないと言って少し離れたところで湯につかっている。
 距離を縮めるためには会話が必要なのだ。
「う〜とね。あたしの国ではね、蛇口をひねるとお水もお湯も出てくるから湯船にお湯を張って、カラダにお湯をかけるのにシャワーを使ったりするんだよ」
「ジャグチをひねる?」
「ああ、栓を開けるようなカンジだよ」
「便利なのだな」
「そうだね、ヒッタイトとくらべるとね。
 でも、こんなに広いおフロなんて銭湯とか旅館くらいだよ」
 ユーリは自分の国の湯殿のことをあれこれ思い浮かべているようだ。
「ユーリはどちらの湯殿の方が気に入っているんだ?」
「あたしはこっちのおフロのがいいよ。
 こんな風に綺麗な星空を眺めながらなんて、なかなかできなかったし。
 何よりカイルと一緒だから」
 目元をほんのりを染めて上目遣いでこちらを見る。
 そんな誘っているとしか思えない仕草をして、後は知らないぞ。
「え?カイル?」
 ユーリの腰に手をまわし、そっと抱き寄せる。
「そんな顔をして誘うおまえが悪いんだよ」
 すっかり上気した肌に、潤んだ瞳。惚れた女のそんな姿に我慢できる男などいるものか。
「そんな!なんであたしが悪い…!」
 これ以上無粋な会話なんて要らない。
 ユーリと唇を合わせ、もう我慢など出来ないとその身体を組み敷く。
「ん…、…カイル…」
 わたしの名を呼び、同じ熱さに酔ったカラダを抱き上げ寝所に移動する。
 一瞬、ユーリが不思議そうな瞳でわたしを見た。
「風邪をひくわけにはいかないからな」
 ユーリのカラダに唇を這わせ、丹念に愛撫を繰り返す。
 ユーリの額には汗がにじみ、わたしの背からも汗がしたたる。
 どうやら、後でもう一度湯浴みをする必要がありそうだ。

                                END

        

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