にいしゃま

                       byマリリンさん

「ととまゆ」「ととしめ」
ピア皇子の呼ぶ声がする。
ほいほい、今度は何事だ。
おれたちは、ピア皇子に知らせたいことがあったので、すぐにピア皇子のところへ泳ぎ寄った。
すると、おれが口を開くより早く、ピア皇子は言った。
「あのね、あのね、ピア今度ね、にいしゃまになるの」
そうか、今度にいさまになるのか。それは、めでたいことだ。
おれは、心から「おめでとう」と言った。

で、おれはとう様になるぞ。おめでとうと言ってくれ。
そう言おうと思ったら、またしてもピア皇子に先を越された。
「あれ、ととしめ太ったの?」
ああ、女心を知らないということは恐ろしい。
よくも、そんな恐ろしいセリフを吐けるものだ。
止める間もなくとと姫はピア皇子に水をかけた。
「メッ、ととしめ。なにしゅるの」
とと姫を睨み付けるピア皇子。
「だって、おなか でてるよ。ととしめ」
ああまた、そんな追い打ちを・・・・・
おれは、怖くてとと姫を見られない。
ピア皇子の視線が、とと姫のお腹に注がれている。と・・・・

「あ、あれ?ととしめ?お腹の中に赤ちゃんが?」
やっと、気がついたか。
俺の子だぞ。かわいいだろう。
「わあ、ととしめ、かあしゃまと一緒だねえ。」
おいおい、皇帝の前で、それは言わないほうがいいぞ。
魚とユーリを一緒にするなと怒られても、おれは知らないからな。
「かあしゃまに教えてこようっと。」ピア皇子はいきなり走り出した。
おおーい、おめでとうといってくれないのかあ。
おれが叫ぶ声はピア皇子には届かなかったようだ。
まったく慌ただしいやつだ。いったいあの性格は誰に似たんだ。
おれは、とと姫を振り返った。とと姫も眼を丸くしてピア皇子の走り去った方向
を見ていた。
おれたちは顔を見合わせて、クスリと笑った。

                            おわり

      

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