寝物語
by yukiさん
いつものように朝が来る前に目が覚める。
隣を見るとユーリが気持ちよさそうな寝息をたてて幸せそうな顔をして眠っている。
わたしはそっと上掛けを直す。
「う〜ん…」
ごろりと寝返りをうちユーリは今直した上掛けをはだけさせてしまう。
寝ている時も元気だ。
というか、ユーリはどうも寝相がよろしくないようだ。
そのおかげで朝晩が冷え込む季節になってくると朝までに一度は目を覚ますことになる。
「ユーリ、そんなに暑いのなら夜着を脱がしてしまうぞ」
腰紐に手をかけるが起きる気配はまるで無い。かといって脱がしてしまえば風邪をひかせかねない。
もっとも前を合わせる夜着だと起きた時には盛大にはだけてしまっているが(しかもわたしの所為にされる)。
どうしたものだろうかと考えながらうとうとしていたらしい、ユーリが肌寒さにごそごそと動き出しわたしに抱きついてくる。
「ユーリ…」
わたしの腕を枕にして再び安らかな寝息をたてる。
黒髪を指に絡ませ、抱き寄せる。
ユーリの暖かいカラダ。胸にかかる吐息。
こうして抱いていればいいのだと思うのだが、朝までこうして大人しくしてなどいてくれない。
昼も夜もわたしの思う通りになどしてくれはしない(ああ、夜はそうでもない時もあるが)。
空が白み始めた頃また目を覚ました。
ユーリの足がわたしの腹の上に乗っている。
たとえ小柄で華奢とはいえそれなりに重い。
「………」
わたしは無言のまま足を腹の上からどける。
さあ、もうひと眠りしようかと思っていたらユーリの腕が咽喉を直撃した。
「……!…ゲホッ!」
思わずむせるわたしの横でユーリは安らかな寝顔を見せてくれる。
なぜそんなにも可愛いのか。
思わず鼻をつまんでしまう。
「ユーリ」
「…んあ?…」
ユーリが間の抜けた返事を返してくる。
ああ、ホントに愛しいよユーリ。
翌朝ユーリが気遣いの言葉をかけてくれた。
「カイル目の下クマができてるよ?
よく眠れなかったの?」
夜のわたしは天国と地獄を行ったり来たり。
ユーリ、おまえに寝ている間の姿を見せてあげたいよ。
END
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