ぷりんさん奥座敷にて13000番のキリ番ゲットのリクエストは「色っぽいザナンザ」とりあえずは、え〜げるバージョンを書いてみました。


再会



 ハットウサ城壁の歩哨から知らせが王宮に届けられたのは、御前会議のさなかだった。
「本当か、それは!」
 重要懸案を脇に押しやると皇帝は腰を浮かせた。
「確かに、殿下でございます」
 重臣の居並ぶ前で、急を告げる歩哨は頭を下げた。
「戻ってきてくれたのね・・」
 声を震わせながら、皇妃はつぶやいた。
「あれは、戻ってくるといっただろう?」
 心なしか皇帝の声も震えている。

 皇帝の腹心の弟、ザナンザ・ハットウシリ皇子が砂漠より奇跡の生還をとげたのは、半年ほど前のことだった。
 戻ってきた彼は以前の身体とは違っていたけれど、皇帝夫妻は彼を暖かく迎え入れた。
 家族同様に親しみ、失われた時を埋めるように穏やかな日々が続くかと思われたある日、事件は起こった。
 皇帝夫妻の第二皇子ピアが池に落ち一命はとりとめたものの、そのことを苦にしたザナンザは一人ハットウサを後にしたのだった。
『必ず、戻ってくる』という書き置きを残して。

「陛下、ご心配をおかけしました」
 片膝をついて、ザナンザは頭を垂れた。
「・・・よく戻った」
 皇帝は言葉少なだった。
「ひどいよ、ザナンザ皇子・・あいさつもなしに行ってしまうなんて」
 あふれる涙をぬぐおうともせずに、皇妃ユーリ・イシュタルが言う。
「申し訳ありません」
「ピアは・・お前が『防水加工』をしに行ったのだと言っていたが」
「おそらくは、とと丸から聞かれたのでしょう。私はそのことはとと丸にしか言っておりませんから」
 中庭の池の魚を思い出して、ザナンザはふっと微笑んだ。
「とと丸・・・」
 皇帝は、複雑な表情をした。
「・・・まあ、よい。で、『防水加工』は出来たのだな?」
「はい、もう濡れても大丈夫です。それに・・」
 ザナンザは上着をするりと脱いだ。
 上半身があらわになる。胸の真ん中には、変わってしまったザナンザの悲しい運命の象徴のボタンがあった。
「今回は、このボタンを回すと・・・」
 広間の人々は、ふたたびどよめいた。
「光の色が、変わるんです」
 いまや、ザナンザは青白いだけではなく、赤や緑にも発光色を変えることができた。
「ザナンザ、おまえ・・」
 絶句する皇帝の横で、相変わらず泣きながらユーリがつぶやいた。
「色の変わるザナンザ・・・色っぽいザナンザ・・・かなり・・・苦しい・・」


                   おわり  

        

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送