名付け親

                    byマリリンさん

とと姫が出産した。まだ子供は小さいし、水草のかげに隠れている。
「ととまゆー、ととしめーおめでとう」ピア皇子が祝福してくれた。
ありがとう、おれも父親になったぞ。

「かあしゃま、ちょっといい?」
ピア皇子が寝所に現れた。
せっかくの二人きりの時間に飛び込まれたカイルは不機嫌そうな顔をしている。
全くカイルったら大人気ないんだから、そう思いながらユーリは聞いた。
「どうしたの。ピア?」
「あのね、あかちゃんのなまえ、ほしいの」
「あかちゃんの名前?」
「うん、ととまゆと ととしめのあかちゃんの。ととしめにそっくりな子なの」
「じゃあ、小さいとと姫っていうことで、とと小姫ってどう?」
「ととこしめ?」「そうよ」
「ありがとう!、かあしゃま」
飛び出していくピアを笑顔で見送った。
魚って一匹しか子供を産まないモノかしら?多少疑問は残ったがカイルに抱き寄せられて疑問はどこかへ飛んでいった。
これが、幕開けだった。


二日目
「なまえ あとふたちゅ いるの」
ピア皇子のかわいいおねだり
「じゃあ、とと吉と とと子なんてどう?」
「ありがとう、かあしゃま」

三日目
もじもじしながら、やってきた。
今にも消え入りそうな声で
「あの・ね もうひとちゅ、ほしいの」
「うーん、とと美 かな」
カイルの顔が引きつってきた。

四日目
泣き出しそうになりながら・・・・
「あかちゃん、だんだん増えてくるの。もうひとちゅ・・・」
「とと助でどう?」
「うん、そうしゅる」
なんか、しょんぼりしていた?


何日も続けて愛妃とのふたりっきりの時間を邪魔されたカイルは唸った。
「ユーリ、魚が4匹か5匹の子しか産まないなんて考えられないぞ。」
「このままだと毎日ピアがやってくるってこと?。」
二人は顔を見合わせた。
それは、なんとしても避けねば・・・・
二人が頭の中で思っている理由は多少(いや、おおいにか)ずれがあったのだが
・・・・・その結果・・・・

とと丸と とと姫の子は5匹を残して、すべて皇室専用の漁場に内緒で移された。

ピア皇子はなんとなく「へんだ」と感じていたがなにも言わなかった。
だんだん赤ちゃんは増えていくし、赤ちゃんの区別はつかないし・・・で泣き出したいぐらいだったから.

「ととしめは、あかちゃん たくしゃん産んだんだねえ。」
とと姫は水面に現れて首を傾げている。たくさんって、あれぐらい当たり前なんだけど。
「かあしゃまのお腹 ととしめより おっきいよね。」
とと丸も水面に出てきた。ピア皇子が何を言い出すのか気になったようだ。
「ねえ、かあしゃまのお腹、あかちゃん何人いると思う?」
とと丸もとと姫も何も言えずピア皇子を見つめた。
「たのしみ」と言うピア皇子が真実を知るときは、近づいている。


              おわり

     

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