復活


 ハットウサ郊外でその男が捕らえられたのは、偶然だった。
 かって城壁外で曝されていたその姿は、長く人々の記憶に残っていた。
 こぼれた髪が、男の正体を知らせた。
 たちまちのうちに引きたてられた彼に、皇帝は複雑な思いで声をかけた。
「・・・なぜ、戻ってきた」
 男は頭を振り、フードを払い落とした。
 金色の滝のように、髪が流れ落ちた。
「おそれながら、わたくしにはおとがめを受ける理由など思い当たりません」
「おまえは先帝を弑虐した大逆犯だ、ウルヒよ」
「大逆犯のウルヒはすでに処刑されたのでは?わたくしが罪人などとは」
 ウルヒの顔の男は不敵に笑った。
「あなたはウルヒと同じ記憶があるのでしょう?だったらウルヒ本人だわ!」
 皇妃が叫んだ。
「分かっているのよ、あなたがサイボーグだってことは!!」
 サイボーグ・ウルヒはいささかの動揺も見せず、その青い瞳を皇妃に向けた。
「どこにそのような証拠があるのです?」
「服を脱がせて!胸にボタンがあるはずよ!」
 皇妃の命令に、走り寄った衛兵が彼の衣を取り去った。
 ボタンが押されたのか、青白い光が広間に満ちた。
「色は・・変わらないのか?」
 皇帝の問いかけに、衛兵が首を振った。
「・・・旧型か・・」
 苦々しげにつぶやく皇帝に、皇妃が玉座から立ち上がった。
「・・・ウルヒ・・あなた防水加工もまだね?」
 言われてサイボーグ・ウルヒは、きつく唇を噛みしめた。


               だから?

    

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