ユーリ、ただいま第3子懐妊中

                   byマリリンさん

「カイル、魚って卵で産まれるのよねえ。」
がっくり来る。
やっと、ふたりっきりになったのに。
おまけにここは寝所だ。気の抜けるような質問はしないでほしい。
「ほとんどの魚は卵だが・・・胎生の魚もいる。それがどうかしたか?」

ユーリのお腹の膨らみに手をのばす。まさか、自分も卵で産みたいなどと言い出したりしないだろうな。

「ピアがね、とと丸ととと姫に弟か妹か産まれるって言いに行ったのよ。」
魚に報告してどうする。ま、ピアもお兄ちゃんになれると言って喜んでいるのはかわいいが・・・・
「そうしたらね、とと姫が「「わたしも赤ちゃんできたの」」ってお腹を見せてくれたんだって」
まさか、そんなばかな。お腹を見せてくれた?・・・・ピアの気のせいだろう。
「とと姫のお腹の中にたくさん子供がいたって言うの。眼が動いているのも見えたっていうのよ」
ユーリのお腹の中に、子供が何人もいる?想像しただけでもいやだ。
ユーリを子供に取られてしまう。デイルのときも、ピアのときも一人だけでも、私はどれだけ寂しい思いをしたか。
ああ、あの時のことを思い出すだけで寂しくなる。
生まれたらきっとお前はまた、私のことなどほったらかしにしてしまうのだろう?今だけは私のことを考えていてくれ。
「カイル何考えているの?」
「いや、ちょっとな」ユーリを抱きしめる。
「ど、どうしたの?」
キスをしながら、手でユーリの滑らかな肌を堪能する。
唇をずらし、ユーリの胸にキスを繰り返す。
「あっ、ダメ。やめてカイル。」
「これぐらいいいじゃないか。」
「ダメよ。我慢できなくなっちゃうから。」
「?我慢?」
思わず顔を上げる。
「そうよ。我慢できなくなっちゃう。」
「?何を我慢してるんだ?」
ユーリの顔が赤くなる。
「ユーリ?」
「だから・・・・・なっちゃうでしょ」
「ん?」
「だから、抱いてほしくなっちゃうでしょ。」
「・・・・・・・そうなのか?」
「そうなのよっ。」
真っ赤な顔のまま答える。声がうわずって大きくなっている。かわいい。
もう一度抱きしめ直す。
「ちょ、ちょっとカイル?」
しばらくは、この腕の中に抱くだけで我慢しなくてはいけないか。
が、こんなセリフがユーリの口から出るとは・・・・口元が思わずほころぶ。
あの一ヶ月は無駄ではなかったってことか?


とと姫が子供を産んだ。
「ととまゆー ととしめー おめでとう」
ピアの声が聞こえる。
とと丸もうれしそうだ。
とと丸、お前も父親になったんだな。
でもいいよなお前は。とと姫を子供に取られなくて・・・・・・
すいすいと泳ぎ回る子供たちを眺めながらため息をつく。
「人間の赤ん坊も、すぐに歩いて自分でご飯を食べてくれればよいのに・・・」
ユーリに言ったら、思いっきり笑われた。そんなに笑わなくてもいいじゃない
か。

ユーリの出産が近づいてくる。

               おわり

     

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送