KISS×3の続きです。カイルバージョン。難しいな・・・

DEEP KISS

「ぜんぜん足りなかったの」
 ユーリの澄んだ声が、いたずらっぽく言う。
 唇にふれる柔らかな感触。
「これは、おはようのキス」
 確かに、おまえに触れられなかった朝は、夜が明けていない気がしたよ。
「行ってらっしゃいのキス」
 出際にぎゅっとおまえの身体を抱きしめるとき、そのままさらっていきたい気分になるのを知っていたか?
「お昼ご飯の時のキス」
 埃っぽい執務室からでて、おまえに会えば太陽に照らされたように暖かになる。
 いくつものキスを受けながら、おまえに満たされなかった日々を思う。
「それから・・これが、おやすみの・・」
 細い手首を掴む。おまえだって、満たされなかったんだろう?
「ダメだな、ユーリ。おやすみは・・・まだだ」
 ユーリの身体をそっと横たえる。黒曜石の瞳が、そっと閉じられた。かすかに開いた唇は、口づけを待っている。
「愛してるのキス」
 ささやきながら、覆い被さる。唇で唇の形をなぞり、綺麗に並んだ歯の形を確かめる。
 舌先が弾むのを絡め合わせ、吸い上げる。
 ユーリの胸が激しく波打つ。
 少しだけ解放すると、せわしなく息を吸い込んだ。濡れた唇が赤く光る。
 迷わず、また口づける。手首から指を外せば、首に巻きついてくる。
 柔らかい黒髪に指を差し込み、ひきよせ、さらに深く。
 あごを捕らえ、なんども顔をズラしながら。
 ユーリの腕が落ちる。応える力が失われたことにいぶかしむと、がくりと頭がそらせれた。
「嘘だろう・・・キスだけで?」
 夢見心地の表情を浮かべて朱に染まった頬に、軽く口づける。
 まつげが震えた。
「眠っては、ダメだよ」
「・・・だって、久しぶりだから・・」
 額にかかる前髪を払う。うっすら汗のにじんだそこに、口づけ。
「ご褒美には、満足したか?」
 頬を染めたまま、うなずいた。
 動悸がおさまらないままの、胸元にてのひらを滑り込ませる。
「こんどは、私に褒美をくれる番だよ」
 もう一度うなずくのを確かめると、なだらかな胸の形を包み込み、薄布ごしに口づける。
「・・あ・・・」
 濡れて形があらわになったそれを、唇ではさみこむ。軽く力を込めると、細い身体が弾んだ。
 吸い上げ、口蓋に舌先で押しつけてもてあそびながら、もう一方の胸にも手を伸ばす。
「こっちの胸も・・淋しそうだ」
 同じだけの愛撫をほどこす。濡れた布を持ち上げて、ピンと立ち上がるのを指先でつまんで転がす。
「カ、カイル・・・」
「分かっているよ」
 身体を離すと、肩先から包む布を一気に引き下ろす。
 夜目にも象牙の肌が淡く燐光を帯びるのが分かる。上気したまま、汗に濡れて。
 手と眼で形を確かめる。
「出立の前夜、私がつけた痕は、消えてしまったな」
 吸いつくようになめらかな肌に頬をすり寄せる。伝わる暖かさから、愛しい想いがこみ上げる。
「・・・本当に、会いたかったよ、ユーリ」
 もう一度、この身体を花びらで飾り立てよう。誰も知らないいくつもの花を咲かせよう。
 最初の場所に舌を這わせたとき、ユーリの身体が激しく震えた。強く頭を抱きしめられる。
「あた・・しも・・会いたか・・った・・」
 そっと、腕を解く。頬をはさみこんで、ささやく。
「目を開けて、ユーリ。おまえが見たい」
 おずおずと黒い瞳がのぞく。私の顔を小さく映りこませて。黒曜石の表面に虹色の膜が張った。
 半ば開いた唇の奥に薄桃の舌がちらりとのぞいたとき、たまらなくなってもう一度口づけた。その柔らかさをむさぼりながら。
 いつだって、おまえに深く沈んでゆく。


              おわり。しまった・・こんなところで 

    
 

    

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