リベンジ
                    byまつさん

 最近風当たりが1部分強い。
 あと3日程でハットウサを起つというのに。
 まぁ、理由は分かっているけどね。
 大方、俺が母上に余計な事を言ったとでも思っているのだろう。
 大体、ちょっと母と昼寝をしたからって、大の大人2人して、そんなに目くじら立てることもないだろうに・・・・例えその後、無視されたとか、夜を拒まれたとしてもだ。
 それは逆恨みというものだ。(あるいは嫉妬ともいう)自分が悪いのだから・・・

 俺は今とても大変なのだ。
 マリエとシンには
「やだ〜!ピアにいさま行っちゃやだ〜」
と大泣きされた上、しがみついて離れてくれない。(それはそれで、ちょっと嬉しいのだが)
 母は、何か理由を作っては、俺の所へ入り浸り状態。
 お蔭で、朝も昼も夜も、母、妹、弟と一緒に寝食を共にしている状態だ。
 寝不足である・・・何故?決まっている。
 毎回扉の向こうで殺気立った気配を感じているからだ・・・二人分・・・どうして一人は自分の宮へ帰らないのだろう。(その内お妃に嫌われるぞ・・・)

 いつになったら俺は、とと丸&とと姫達にゆっくり話しができるのだろう。
 特にとと丸は物心つく前からの付き合いだし、つもる話もしたい。
 とと丸は魚である、昔、皇室専用漁場で母と兄が釣上げたのだ。(とと姫はとと丸の嫁さんとして後から兄と俺とで選んであげた)
 しかし、一体魚の寿命はいくつなんだろうと不思議に思っている。
 人間の歳でみれば相当な歳だろうに・・・(父は妖魚だといっている。)
 本人?に聞けば怒って水を掛けられるだろう。

 今はお昼寝時間。添い寝してくれる筈の人達は仲良く川の字になって爆睡している。
 今なら抜け出してとと丸達の所へ行けるかな?
 だが・・・扉の向こうには・・・いるな・・・すごい気配がする。
 ちょっと・・・一人で扉を開けるにはかなり勇気がいるぞ。
 しかし、今を逃したら、ゆっくり話ができない。自分の口から報告したいしな。

 意を決して?俺は立ち上がり扉に向かって行った。
 キィ・・・ドアを開けると思ったとおり、仁王立ちしている高貴なお二方がいらっしゃ る。
 しかも二人共、一睡もしていないのだろう。眼が充血して血走っている。・・・怖い。
「こんなところでどうしたのですか?父上、兄上?」
 とりあえず、お約束通りに、とぼけて見せる。
「ピアこそ、3人置いて何所へ行くんだ?」
「とと丸達の所ですよ。まだ中の人達は休んでおりますから、お静かに願いますよ。
あぁ、それからベットの定員はオーバーですからね。入り込まないで下さいね」
「そんな事言われなくてもわかっている」
 憮然とした顔。
「お疲れの様ですね。まだ午後の政務まで時間があるでしょう?御自分のお部屋に戻ってゆっくりお休み下さい。それでは失礼します。」
「・・・・・・・」
 俺は二人を背に歩き出した。

 ・・・・勝った。
 ざまぁ見ろ!いつも人をいい様に、こき使うからだ。

 1ヶ月ちょっと前などは、わざわざエジプト国境まで母を捜しに行ったついでに、母の墓参りの供をしただけなのに、帰りが遅いとか、母とくっつき過ぎとかボロクソに言われたんだ!
 しかも、母に昔に戻ったみたいだと請われて「ユーリ」と呼び捨てさせられたのに。
(ちなみに、母は俺の事を「皇子」とよんだ)
 確かに「恋人ごっこ」に付き合ったのは、やりすぎだと思ったさ。
 例え嘘でも母親が恋人なんて、気持ち悪いだろ?
 なおかつ、兄の誕生祝まで一緒に考えさせられたんだぞ!
 聞きに言ったら会ってくれなかったとか言われて。

・・・ちょっと言葉が悪かったか。

 いつも美味しい所を持っていくのですから、たまにはいい薬です。
 特に父上。息子を遠くに追い出すのですから、これくらいで終わるなんて、考えないで下さいね。
 とりあえず、マリエとシンにお昼寝「母の膝枕争奪戦」勝利の秘術をマスターしてもらわなくてはね。
 すでに「ふせん」は引いてあるから、かわいい弟妹達がんばるんだよ。

 いろいろ考えている内に、池までたどりついた。
 さぁ、愛して止まないお魚達よ。ゆっくり語り合おうではないか。
 もちろんリベンジに協力してもらうよ。
「とと丸〜とと姫〜。おいで。」
 お魚達は、呼ばれるのを待ちかねた様に寄って来た。

 楽しいリベンジはこれからが本番である。


                       おわり

         

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