ぼうしゅいかこう

                      by魚屋マリリンさん

やあだあ、かあしゃま。」
 ピア皇子が泣いている。
 みれば、びしょぬれ・・
「ピア、また名前間違えたのね。」
 びしょぬれのピアを抱き上げる。
「わああん、ピアもぼうしゅいかこうするう。」
「ぼうしゅいかこう?」
「ザナンザおじちゃまもしたんでしょう。ピアもしゅるの。」

 ああ、防水加工ね。あれって人間にもできるのかしら。
 でも、防水加工しなくてもピアは壊れないから、必要ないと思うけどなあ。
 さて、着替えさせなくちゃ。


{こら!、またピア皇子に水かけて!}
 こちらは、とと姫が子供たちを集めてお説教中
{だあって。}
{そうよねえ。}
{自分で名前付けたんだし。}
{おれたち、顔違うよなあ。}
{おれたち、ちゃんとデイル皇子とピア皇子の区別つくよなあ。}
{じゃあ、リュイとシャラの区別ついてんの!}
 と とと姫
 うっ、痛いところを・・・・・・
{そうなんだよな。あの二人いまだにわからん。}
{いつもどっちが来たか、もめちゃうわねえ。}

{いーい。ピア皇子から見たら、みんな、そっくりに見えているのよ。
名前が違うなんて、水かけてないでここにいるよって手(ひれか?)を挙げてあげなさい。いいわね。}
{{{{{はーい}}}}}
 目配せして、怪しげな笑みを浮かべているのをとと姫は見逃した。

「ととこしめ?」
 おそる おそるピア皇子が声をかける。
{はい}
 すっと手をあげる。
 ほっとしたピア皇子は、
「とときち?」
{はい}
「ととみ?」
{はい}
「うっ」
 涙が盛り上がる。だってさっきから同じ魚が手を挙げている。
「わああん。かあしゃまあ」
「ど、どうしたのピア。」
 今回は濡れていないけれど?
 もしかして、こっそり防水加工をしたとか?まさかね。
「違う名前呼んでも、おんなじ おしゃかながてを あげるのお」
 完全に遊ばれている。

{あんたたちは!}
 とと姫が怒りに震えている。
 まったく、早くも反抗期か?
 あさっての方向を向いている子供たちに何を言っても無駄かもしれない。
 そう思うと とと姫は脱力感を覚えた。
 子育てって大変だわ。おまけにここには、教えてもらおうにも他の魚はいないし・・・・・
 というより、池にいたら餌を捜すのが大変でこんなことしてる子魚もいないわ・・・・・・

 ここに来てから初めてとと姫は前の池に戻りたいと思った。


                        おわり

      

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