いつもの朝

            by yukiさん

 やわらかな光にくすぐられて目を覚ます。
 うっすらと目を開けるとやわらかな黒髪がひろがっている。
 ユーリの首元に顔をうずめ肌の匂いを吸い込むと我知らず頬が緩んでくる。

 そっと背中に腕をまわしてしっかりと抱きしめて白い項に口付けをする。

「・・・う・・ん」

 ユーリが大きく息を吐き出す。
 カラダの下で上下する胸とその吐息にドキリとする。

「さあ、そろそろおはようかな?」

 激しくなる鼓動を悟られないよういつも以上に落ち着いた声を出す。

「ん・・・。カイルもう起きたの・・・?」
「おまえが目覚める瞬間を見ていたいからね」

 頬がかすかに染まり始める。
 みるみる朱に染まっていく頬に口付ける。

「なんで?」
「生まれ変わるとっておきの瞬間だから」
「生まれ変わる?」

 不思議そうに首を傾げる姿も愛らしい。

「ああ、夜を越える度おまえは美しくなる。
 朝日の中で蛹から孵る蝶を見ているようだ」
「カイルったら」
「本当に蝶のようにこの手の間をすり抜けていってしまうのではないかと心配だよ」

 本当に。
 目を離した隙にこの腕の中から消えてしまいはしないかと今でも不安になる。
 だからわたしはおまえを抱きしめる。

「あたしはどこにもいかないよ?」

 どこかへ行かれたら困る。
 おまえのいない世界でなんてどうやって生きていけばいい?

「どこへも行かさないさ。
 一生離さないと言っただろ?」

 頬を手で包み込み額を合わせる。

「あのさ、朝のあいさつってもうしたっけ?」
「いいや」
「おはようカイル」
「おはようユーリ」

 そっと唇を触れ合わせる。

 さあ、今日はどれだけ口付けをかわそうか。



                   END                                                                                                                                                

      

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