すきすきサマー

                     by yukiさん

「あつ〜〜い!!」
 夏の日差しを避け窓辺で休んでいたが暑いのだろう、ユーリが大胆に胸元を広げて風を送りこんでいる。
 わずかに覗く胸元では白い肌にほんのり汗が浮かんで何となくそそられる。
 ぐったりしたその佇まいがさらにそう思わせるのだろうか?
「どうした?外までおまえの声が聞こえてきたよ」
「ウソ!?」
「後宮に入ったあたりから聞こえていたぞ」
 部屋の中で3姉妹にしか聞こえていないとでも思ったのだろう、みるみる頬を朱に染めていく。
「だって・・・暑いんだもん」
「夏だからしかたないだろう?」
「もう!早く秋が来ないかなぁ」
 ほんの少し頬を膨らませ寝椅子の上で大きく伸びをする。
 伸びると汗で服が張り付き華奢な身体の線を浮かび上がらせる。
 思わず生唾を飲み込んでしまったのを悟られないようするのすら大変だ。
「あ〜あ、泳ぎたいなぁ〜」
「!!!?」
 今何て言った?
『泳ぎたい』
 確かにそう言ったよな!?
「ダメだ!」
「え?」
「ダメだ!ダメだ!ダメだ!ダメだ!ダメだ〜〜〜!!」
 目を閉じて精一杯叫んでいたら目を開けると呆気にとられたユーリの顔があった。
 わたしは咳払いをひとつして体制を立て直すともう一度ダメ押しをした。
「いいか?おまえは今大事な時期なんだ。身体を冷やしでもしたらどうするんだ?」
 そう、わたしのユーリは現在身重である。
 前回のこともあるし出来る限り安静に過ごして欲しい。
「でも暑いんだもん」
「毎日水浴はしているじゃないか」
「あれだってカイルが『冷えるから』って言ってお湯なんだもん」
 確かにあの温度では“水浴”とは言えないかもしれない。
「そんなに暑いのか?」
「暑い・・・」
 このままではいつかわたしの目を盗んで水に入ってしまう。
 わたしは優秀な頭脳をフル回転させて考えある結論に至った。
「よし。わたしに考えがある!少し待っていろ」
 言うが早いかわたしは王宮にもどり指示を出し準備を開始した。


「どうだユーリ?冷たくて気持ちいいだろう?」
「・・・うん。もう涼しくなってきたからいいよ?」
「あんなに暑いって言ってたじゃないか?遠慮することはないよ?」
「でも・・・」
 わたしの手には泉のから汲んできた冷水に浸した布がある。
 冷たい湧き水に浸した布で丹念に肌の出ている箇所を拭いてやる。
 側には3姉妹が控え大団扇で風を送り込んでいる。
 ユーリが言うように体温が逃げていくのを確認すると3姉妹に目で合図をしてさがらせる。
「そろそろ冷えすぎたか?少し暖めよう」
「え?ちょっと待って!ハディ・・・」
「もうさがったぞ」
「待って!カイル・・・」
 


 たまには夏の暑さもいいものだ。


                    END

     

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