涙のKISS

                    byハマジさん


「・・・・・・・カ・・イル・皇子・・・」

「どうした?怖い夢でも見たのか?」
 月の明かりがまだ窓から差し込んでいる。
 真夜中過ぎにカイルの腕の中でユーリは目を覚ました。
 カイルが心配そうにユーリを見つめていた。
「カイル皇子・・・?」


「ん?昔の夢か?」
「え・・・あっ、カイル・・・」
 カイルがそっとユーリの頬を撫でる。
 一筋の涙を指で優しく拭う。


「・・・・すっごく懐かしい夢を見てた・・・。まだカイルが即位する前の夢・・・」
「どんな夢だ?おまえを泣かせるなんて」


 ユーリはカイルの腕の中に擦り寄りながらじっと上目遣いにカイルを見つめた。
 質問に答える代わりにカイルの頬に手を寄せ、その唇にそっと口付けた。
 ユーリが唇を離すと、今度はカイルが応えるようにユーリに口付ける。
 舌で優しくユーリの唇を割り、中で互いに絡めあう。
 愛しさに胸が熱くなり、自然と涙がこぼれる。
 長い情熱的なキスのあと、ユーリが呟いた。


「あたし、カイルのキスが好きなの」
「キスだけか?」
「もちろんそれだけじゃないけど・・・」
「しかし・・・そう言うなら存分に応えないとな」
「え・・・きゃっ!・・・ん・・」


 カイルはキスの雨を降らせる。唇、髪、おでこ、瞼、頬、耳、顎、首筋、胸元・・・。


 熱い熱いキス。愛してるのキス。
 夢の中のキスは冷たかったけど。



 あれはキッズワトナ。
 冷たく硬い唇。
 胸が痛くて張り裂けそうな悲しいキス。



 クラクラするようなキスをユーリに浴びせながらカイルが訊ねる。
「夢の中でおまえを泣かせてたのは誰なんだ?」
「・・・・・・・・・・・カイルだよ」



 あなたとのキスだから悲しくも嬉しくもなるの。



                    END

           

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